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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控 猿回し

野村 胡堂

Lesen Sie 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.671 Zeichen · 252 Bildschirme

Aozora Bunko

平次は先に立って、冬田のままの田圃道を、何処へともなく歩き始めました。

まだ名物の桜の莟も固く、道の枯草に浅緑も蘇返らず、うるんだような宵月が、二人の影法師を長く苅田の中へ引いて居ります。

「――」

新吉は黙って平次の後から、向島の土手へ、そして夜の水を眺めながら、黙って下手の方へついて行くのでした。

「お前は帰ったことを、一応は皆んなに教えて来るとよかったね」

とある掛け茶屋、花には早い雨ざらしの縁台に掛けて、平次はこんな世間並なことを考えて居るのでしょう。

「いえ、私が帰らなくたって、誰も案じてくれ手なんか、ありゃしませんよ」

縁台の向うの端に掛けた新吉の声は、ツイ尖ります。葭簾の陰で、顔は半分見えず、あの燃える瞳も隠れて居りますが、気魄の激しさを、平次は近々と感ずるのでした。

「そんなことは無い。お前のことを案じて居る者が、一人は確かにあった筈だよ」

「あの――それは誰でしょう、親分さん」

「この手紙を見るがよい。この字に、お前は見覚えがあるだろう」

平次は懐中から、『新吉さんを助けてくれ』と書いた拙い女文字の手紙を出して見せました。新吉は心せく様子でそれを拡げると、身体を曲げるように月光りに透して読んで居りましたが、