Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.671 Zeichen · 252 Bildschirme
「でも、その先は、私の迷いだったかも知れません、うっかり申上げて――」
お通は兎角引っ込み思案になりますが、平次は此処まで来ると、もう許してはくれません。其時、
「お通、その先を言うのだ、――隠してはお照が浮かばれないぞ」
縁側へ来たのは、主人の石井依右衛門でした。この男は、恰幅の見事なように、心持にもゆとりがあるらしく、目黒の浪次がお通をつけ回しても、物の数ともしない、太い神経の持主らしく見えました。
だが、お通が曲者の正体を知って居るのに、それをヒタ隠しに隠して居る様子を見ると、さすがに我慢がなり兼ねたのか、自分の部屋を出て、縁側まで乗出して来たのです。
「これを申上げると、大変なことになりますが、旦那様」
お通が斜下から見上げる眼は、悩ましくも痛々しいものです。
「構わないじゃないか、若い娘一人を殺して、知らん顔をして居るような奴のために、何を遠慮することがあるものか」
「では、申します、――あの、私を二階から突き落したとき、妙な匂いがいたしました」
「妙な匂い?」
平次は問い返しました。
「腋臭だよ、平次親分、――それに相違はあるまいな、お通」
依右衛門は脇から註を入れます。