Japanische Klassiker mit Furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控 猿回し
野村 胡堂
Lesen Sie 銭形平次捕物控 猿回し (ぜにがたへいじとりものひかえ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 125.671 Zeichen · 252 Bildschirme
「どうしたんだ」
「やられましたよ、少しの油断でしたが、二千両の金を――」
「何? 二千両の金を」
「旦那様の旅の仕度で、皆んな大騒ぎをしている時、――私は馬の用意で――奥のお座敷が一寸空っぽになったのを見計らって、不浄門の切戸から忍び込んだ曲者が、僅かの間に、二つの千両箱を持出し、気のついた時はもう、千両箱も人間の影もありません。こいつが無かった日には、旦那は甲府へ発つこともならず、そうかと言って二千両の大金は五日や十日で工面も出来ず、大変なことになりました。――どうか、銭形の親分に、来て見て下さるようにと、旦那様からも懇々のお頼みで」
下男は縁側に手を突いて、精一杯の口をきくのです。
「何を言やがる」
「へェ?」
「波岡家では、町方の手先や御用聞は、門の中へ入れると、不浄が感染ると言ったじゃないか」
「それはその」
「十二月十日の寒空に、一と晩塀の外へ立って、俺はもう臍まで凍ってしまったよ。――八百石のお旗本かは知らないが、帰ってそう言うがいい――」
八五郎はカンカンに腹を立てて、さすがに後の文句が続かないほど激昂して居りました。
「八」
「あ、親分」
其処へノソリと気のきかない朝帰りみたいな顔をして平次が帰って来たのです。