Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(八) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.604 Zeichen · 391 Bildschirme
二
――と座中を見まわした。
二
誰も答える者もない。われこそと名乗りでて、その至難に赴こうという者がない。
それもその筈。――孔明は、この大事におもむく者は、智勇胆略の兼ね備わっている良将でなければ用い難い――と前提しているのである。
「…………」
孔明のひとみは、魏延の顔を見た。しかしその魏延ですら首を垂れて無言だった。
――と、王平がつと進んで、
「丞相。それがしが赴きましょう」と思い切った語調でいった。
孔明は、敢えて歓びもせず、
「もし仕損じたらどうするか」と、反問した。
王平は悲壮な面色で、
「成功するや否やなどは考えておりません。ただ今、丞相のおことばには、この一戦こそ、蜀の興亡にも関わる大事と仰せられましたゆえ、不才を顧みるいとまなくただ一死を以て国に報ぜんとするあるのみです」
「王平は平時の良才、戦時の忠将。その一言でよし。しかし魏の大軍は、二段にわかれ、前軍張、後陣司馬懿のあいだは、まさにおのずから死地そのものだ。わが命じるところはその死地の間に入って、戦えという無理な兵法なのである。いわゆる捨身の戦いだ。なお赴くか」
「断じて赴きます」
「では、もう一軍添えてやろう。