Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(八) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.604 Zeichen · 391 Bildschirme
二
「やや。これはしくじった」
狼狽した魏延は、その上にまた、足もとに落ちてきた主燈の一つを踏み消してしまった。それまで、化石した如く祷りをつづけていた孔明は、あっと、剣を投げ捨て、
「――死生命あり! ああ、われ終に熄むのほかなきか」
と、高くさけんだ。
姜維もすぐ躍り込んできて、剣を抜くや否、
「おのれっ、何たることを!」
と、無念を声にこめて、いきなり魏延へ斬ってかかった。
二
「姜維。止さんかっ」――孔明は声をしぼって、彼を叱った。
悲痛な気魄が姜維を凝然と佇立させた。
「――主燈の消えたのは、人為ではない。怒るを止めよ。天命である。なんの魏延の科であるものか。静まれ、冷静になれ」
そういってから孔明は床に仆れ伏した。――がまた、陣外の鼓や鬨の声を聞くと、すぐがばと面を上げ、
「こよいの敵の奇襲は、仲達がはやわが病の危篤を察して、その虚実をさぐらせんため、急に一手を差し向けて来たに過ぎまい。――魏延、魏延。すぐに出て馳け散らせ」
悄気ていた魏延は、こう命ぜられると、日頃の猛気を持ち返して、あっとばかり躍り直して出て行った。
魏延が陣前に現われると、さすがに鼓の音も鬨の声もいちどにあらたまった。