Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(八) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.604 Zeichen · 391 Bildschirme
女衣巾幗
一
真に、事ヲ謀ルハ人、事ヲ成スハ天。――ぜひもないと独り涙をのみ独り遺憾をなぐさめているしかなかったに違いない。
女衣巾幗
一
誰か知ろう真の兵家が大機を逸した胸底のうらみを。
人はみな、蜀軍の表面の勝ちを、あくまで大勝とよろこんでいたが、独り孔明の胸には、遺憾やるかたないものがつつまれていた。
加うるに、彼が、ひとまず自軍を渭南の陣にまとめて後、陣中、しきりに不穏の空気がある。
質してみると、
「魏延が非常に怒っておるようです」とのことだった。
孔明は魏延を呼んで、
「ご辺がしきりに怒声を放っているということだが、何が不平なのか」と訊ねた。
魏延は、勃然と、怒気をあらわして云った。
「それは丞相自身のお胸に訊いてみるのが一番でしょう」
「はて。わからぬが」
「では、申しますぞ」
「いわれよ、つつまず」
「司馬懿を葫芦谷へ誘きこめとお命じになりましたな」
「命じた」
「幸いにもあの時、大雨が降りそそいできたからよいようなものの、もしあの雨がなかったら、魏延の一命はどうなっておりましょう。それがしも司馬懿父子とともに、焼き殺さるるほかはありません。思うに丞相はそれがしを憎しみ、司馬懿と一緒に焼き殺さんと計られたのでありましょう」