Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(八) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.604 Zeichen · 391 Bildschirme
髪を捧ぐ
一
漢中の軍民は、伝え聞いて皆、孔明とともに自己を責めた。そして練武研心、後図を抱いて、毎日、魏の空を睨まえない日はなかった。
もちろん孔明その人も、捲土重来をふかく期していたのである。彼は、そのまま漢中にとどまった。そして汲々として明日のそなえに心魂を傾けた。
(――民ミナ敗ヲ忘レテ励ム)
当時、蜀の国情と士気とは、まさにこの語のとおりであった。其の敗れは、その国の内より敗れたときである。たとい一敗を外にうけても、敗れを忘れて、より強く結束した蜀国家には、なお赫々たる生命があった。
髪を捧ぐ
一
街亭の大捷は、魏の強大をいよいよ誇らしめた。魏の国内では、その頃戦捷気分に拍車をかけて、
「この際、蜀へ攻め入って、禍根を断て」
という輿論さえ興ったほどである。司馬懿仲達は、帝がそれにうごかされんことをおそれて、
「蜀に孔明あり、剣閣の難所あり、決してさような妄論にお耳をかし給わぬように」
と、常に軽挙を押えていた。
しかし、彼はただ安愉を求めているのではない。さきに孔明は街亭へ出て失敗しているから、次にはかならず陳倉道へ出てくるであろうと予想した。で、帝にすすめて、不落の一城をその道に築き、雑覇将軍昭に守備を命じた。