Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(八) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.604 Zeichen · 391 Bildschirme
四
曹真は、嘘を答えた。
「いや、我が方には、まだ蜀軍は一兵も見ない。賭は予の勝ちであるぞと、司馬懿に申しておいてくれい」
四
十日目が来た。曹真は、幕僚たちに向って、
「賭に負けるのは辛いので、司馬懿はあんなことをいって来たが、箕谷の方面に事実蜀軍が出たかどうか知れたものではない。何としても、彼を賭に負かして、司馬懿仲達が紅白粉をつけ、女の着物を着て謝る姿を見てやらなければならん」
などとなお、興じ合っていた。
そこへ鼓角の声がしたので、何事かと陣前へ出てみると、味方の秦良軍が旗さし物を揃えて静々と近づいてくる。そして、
「ただ今、引揚げて候う」
と、彼方から手を振って合図していた。
曹真はすこしも疑わず、同じく手を挙げてこれを迎えた。ところが、数十歩の前まで近づくや否、味方とのみ思っていたその軍隊は一斉に槍先を揃えて、
「あれこそ大都督曹真なれ。曹真をのがすな」と、突き進んできた。
曹真は仰天して、陣中へ転げこんだ。するとほとんど同時に、営の裏手からも猛烈な火の手が揚がった。前から関興、廖化、呉班、呉懿、裏からは馬岱、王平、馬忠、張翼などが、早鼓を打って、火とともに攻め立てて来たのである。