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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(八)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(八) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.604 Zeichen · 391 Bildschirme

Aozora Bunko

四

「彼の不平は今に始まったことではないよ」

楊儀はいぶかしげに、

「そこまでご承知でありながら、人一倍、軍紀にきびしい丞相が、なぜ彼の悪態を放置しておかれるのです?」

「楊儀。さようなことは、みだりに云うものではない。予が胸も察するがいい。蜀の諸将と軍力をよく観て」

楊儀は沈黙した。そして孔明の意中を酌むにつけ断腸の思いがあった。連戦多年、蜀軍の将星は相次いで墜ち、用いるに足る勇将といえば実に指折るほど少なくなっている。――ともあれその中にあって魏延の勇猛は断然衆を超えているものがある。

いまその魏延をも除くならば、蜀陣の戦力はさらに落莫たらざるを得ない。孔明がじっと怺えているのは、そのためであろうと楊儀は察した。

時に成都からの用命をおびて、尚書費がこの祁山へ来た。孔明は彼に会うと告げた。

「ここにご辺ならでは能わぬ大役がある。蜀のために、予の書簡を携えて、呉へ使いに赴いてくれまいか」

「丞相の命令なれば、辞す理由はありません。どこへでも参りましょう」

「快く承知してくれて有難い。ではこの書簡を孫権に捧げ、なお卿の才を以て、呉をうごかすことに努めてもらいたい」