Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(八) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.604 Zeichen · 391 Bildschirme
二
要するに、渭水から向うの地方は日々、蜀の国土となりつつある実状。父上もそれはご存じでしょう。一体、なぜ魏軍はこれ程の大軍を擁しながら、空しく戦わずにいるのですか。私には解せません。……きょうはそれをお伺いにきたわけです」
若い司馬師は、こうつめ寄って、戦場では父子の妥協もゆるされないというような顔いろを示した。
二
「いや、わしも思わぬことではないが……。如何せん、固く守って攻めるなかれ、という洛陽の勅命じゃ。勅に背くわけにゆかん」
司馬懿が苦しげに言い訳するのを、息子の司馬師はくすぐったいような微苦笑に受けて、
「しかし父上。麾下の将士は皆、さようには解しておりませんよ。洛陽の指令はいつでも保守的な安全主義ときまっておるのですからな」
「ではなんと解しておるか」
「やはり大都督たる父上自身が孔明に圧倒されて、手も足も出せない恰好になったものだと思っておりましょう」
「それも事実じゃ。わが智謀はとうてい、孔明に及ばん」
「智ある者は智を用い、智なき者は力を使う――とかいうではありませんか。魏軍百万は蜀軍に約三倍する兵力です。この大兵と装備と地利を擁しながら、日々呻吟籠居して、将士を倦み怒らせているのは一体如何なるお心なので――」