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Japanische Klassiker mit Furigana

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さんごくし

三国志(八)

吉川 英治

Lesen Sie 三国志(八) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.604 Zeichen · 391 Bildschirme

Aozora Bunko

三

三

もしこのままなお知らずにいれば彼は五丈原の前線に置き去りを喰うところであった。愕きもし、憤りもして、魏延は拳を振った。

「費の腐れ儒者め。よくもうまうまとおれを騙して、出し抜けを喰わせたな。うぬ。かならず素っ首を引き抜くぞ」

まるで旋風でも立つように、彼はたちまち号令して陣屋を畳ませ、馬具兵糧のととのえもあわただしく、すべてを打ち捨てて本軍のあとを追った。

一面、魏陣のうごきはと見るに――さきに司馬懿の命をうけて五丈原の偵察に出ていた夏侯覇は、馬も乗りつぶすばかり、鞭を打ち続けて帰ってきた。

待ちかねていた司馬懿は、姿を見るやいなや訊ねた。

「どうであった?」

「どうも変です」

「変とは」

「蜀軍はひそかに引揚げの準備をしておるようです」

「さてこそ!」

司馬懿は手を打って叫んだ。そしてそのふたつの巨きな眼にも快哉きわまるかの如き情をらんらんと耀かしながら、帷幕の諸大将をぎょろぎょろ見まわしつつ、足をそばだててこう喚きまたこう号令を発した。

「孔明死す。孔明死せりか。――いまは速やかに残余の蜀兵を追いかけ追いくずし、鑓も刃も血に飽くまでそれを絶滅し尽す時だ。