Japanische Klassiker mit Furigana
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さんごくし
三国志(八)
吉川 英治
Lesen Sie 三国志(八) (さんごくし) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 195.604 Zeichen · 391 Bildschirme
口に白い泡ばかりふいて、鞭を加えられても、いたずらに一つ所に足掻いているように思われる。
「都督都督。我々です。もうここまで来れば大丈夫。そうおそれ遊ばすにはあたりません」
追いついてきた二人の大将を見ると、それは敵にはあらで、味方の夏侯覇、夏侯威の兄弟であった。
「ああ。汝らであったか……」
と、仲達は初めて肩で大息をついたが、なおしたたる汗に老眼晦く霞んで半刻ほどは常の面色にかえらなかったと、後々まで云い伝えられた。
実際、彼の顛倒した愕きぶりは察するに余りあるものがある。彼においてすらそうであったから魏の大軍がうけた損傷は莫大だった。このとき夏侯覇兄弟は、
「蜀の勢は急激にまた退いたようですから、この際、お味方を立て直して、さらに猛追撃を試みられてはどうです」
と、すすめたが、孔明なお在りと、一時に信じて恐怖していた司馬懿は、容易に意を決するに至らず、ついに全軍に対して引揚げを命じ自身も近道を取って、空しく渭水の陣へ帰ってしまった。
散走した諸将もやがて追々に集まり、逃散した近辺の百姓もぼつぼつ陣門に来ていろいろな説をなした。それらの者の報告を綜合してみると、大体次のような様子がようやく知れた。