Japanische Klassiker mit Furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Lesen Sie 丹下左膳 (たんげさぜん) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 196.229 Zeichen · 389 Bildschirme
家の中には、例の泰軒居士を取りまいて、長屋の男、女、お爺さん、お婆さん、青年や若い女が、ギッシリすわって、作爺さんは、出もしない茶がらをしぼって、茶をすすめるのにいそがしい。
かわいい稚児輪のお美夜ちゃんがねむそうな眼をして、それをいちいち配っている。
「だから、じゃ――」
と、泰軒先生は、あいかわらず、肩につぎのあたった縦縞の長半纏、襟元に胸毛をのぞかせて、部屋のまん中にすわっている。合総の頭をユラリとさせて、かつぎ八百屋をしている長屋の若者のほうを、ふり向いた。
「だからじゃ。そのお町という女に実意があれば、どんなに質屋の隠居が墾望しようと、また父親や母親がすすめようとも、さような、妾の口などは振りきって、おまえのところへ来るはずじゃが」
先生は、チラと若者を見て、
「お町さんの家は、そんなに困っておるというのでもなかろうが」
「ヘエ、この先の豆腐屋で、もっとも、裕福というわけじゃアござんせんが、ナニ、その日に困るというほどじゃあねえので」
「しかるにお町坊は、家を助けるという口実のもとに、その伊勢屋の隠居のもとへ温石がわりの奉公に出ようというのだな」