Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
むしろ貧しげであった。容貌にしろ、それは美しき男性という範疇から遠いどころではない、燈火の反映の下で見たより一層陰気であった。それだのに、何故か彼には伸子に好奇心を起させるものがあるのであった。――
話が一段落つくと、佐々は、
「どうです、一緒に茶でも上りませんか。――実は我々もこれから食事をやるところですから」
と佃を誘った。
佃は、一旦辞退したがテーブルについた。伸子は、彼から、日本から来た労働者が浮浪者になる経路や賭博狂のある男の話などをきいた。佃は話下手であった。自分から話題を展開させる性質の男でなかった。彼は、教室に出る時間の都合があると云って、間もなく中座して帰った。
伸子は、十一時前に下街に行く父とホテルを出て、一緒に地下電車の停留場まで行った。そこで別れ、彼女は自分だけ、徒歩で美術館に行った。
土曜、日曜以外館内はひっそりしていた。右のとっつきに、ロダンの作品ばかり集めた一室があった。レムブラントの「花を持てる女」の前で、イタリー人らしい一人の男がそれを模写していた。彼は熱心に、美術家らしくブラウズを着た背をかがめ、原画と自分の画面とを見較べ見較べ細心に、神秘的な原画の素晴らしい色調を出そうと努めているのだが、伸子の眼に彼のカンヴァスは醜怪以外の何ものでもなく映った。