Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme

Aozora Bunko

九

再び伸子が部屋に戻った時、彼はまだ机の右にも左にも本を拡げて、その間に坐っていた。

彼の強情そうな盆の窪は、彼女に向って云うように見えた。「私は何を聞いて来たか知っています。あなたは私を理解してくれるだろう?……が、思いたいように思いなさい。私は弁解しません」

母から聞いたことを、再び口に出すことは堪え難いし、部屋にその心持のままいるのも切ないし、彼女は蔵前の廊下へ出て、腕組みをし、体を左右にゆすりながら、そこを行ったり来たりした。高い天井から十燭の電燈が下の板の間を照していた。正面に土蔵の網戸が見えた。拭きこんだ廊下は足袋の裏に滑らかに堅かった。こんなにも滑っこかったか、と驚かれる夜の板の間であった。伸子は、寂しいので、益々体を揺り動かして歩いた。

九

風呂場は湯気で濛々としていた。伸子は、裾を端折って、大盥の中でつや子の体を洗ってやっていた。溶けた石鹸の香いや、水蒸気の熱い湿っぽさが、衣服を透していやな気持がした。つや子は大きなスポンジに湯をふくませ、両手で搾って、自分のおなかへ上から湯をかけながら、噪いで笑った。

「お姉ちゃま、見てよ、見てよ、おぽちょ(臍)にお湯がしみるわよ。