Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme

Aozora Bunko

招かれぬ客もいないし、主賓が欠けているわけでもない。乾盃から卓上演説まで、すべて遺漏なくプログラム通り運ばれている。しかも、始めから終りまでその席に連なり、プログラムの予定通りの進行の証人となっているうち、その会合全体のうちに、自分が何の趣味も意味も感ぜず、突然変な不安にうながされて周囲を眺めまわすような場合がある。はたの誰一人、自分の感じるような屈託は持っていないと云う発見で、彼は自分を慰め得るであろうか。逆に、ますます自分のその場にそぐわない感じを強めるのであろう。

伸子もそれなのであった。細君という席が、彼女にぴったりしないのであった。どうぴったりせぬかと云う原因を一口に云うのは困難だし、不可能なことであった。それは奥深いところにあるだろうし、繊細な気持のニュアンスなのだから。ただ一つだけ伸子に分っていたことは、生活が廻転する幅の狭さ、重さ、若々しい柔軟性の欠乏であった。これからこそ自分達の生活だ。さあ、私の愛する人よ、多くの希望をもって生活に踏み出すと、いつの間にか生活の方が、牧場の柵かなどのように自分達をとりまき、伸子はそのうちに、夫というどこやら嵩張って動かぬ者と、鼻をつき合せてしまったように感じるのであった。