Japanische Klassiker mit Furigana
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のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
それでがっかりするくらいなら、あなたみたいに、初めっから蜃気楼なんか見ないようなたちの方が、かえっていいかもしれない」
床に入ってから、和一郎は伸子も知っているある娘について、彼女の意見を訊いた。伸子はなぜともなく、彼の興味が今はその少女にあることを覚った。彼女は、少し返事に困った。彼女の印象によると、その令嬢は、さっき和一郎が話した、派手な色どりの空気ばかりみたいな少女でない代り、鮮やかな、愛らしいところもない、つまり、平凡すぎる生れつきに思えていたのだ。隣室に電燈をつけてあるので、薄明りが境の欄間から天井にだけさしていた。
「どうって……ごくあたりまえじゃあないこと……だけれど私、自分がそれでいい加減いやな思いをさせられたから、かれこれ云うのいやだ」
それにつけても伸子は考えた。自分と佃との交渉が始まってから、何と沢山、反佃の言葉をきかされたことだろう。云う人々の目的は、自分に佃を断念させたいためであったろうが、事実はそうならなかった。逆に作用した。彼女は万一和一郎に恋愛問題が起ったら、せめて自分だけは、本当に何等かの言葉が彼から求められるまで、よき沈黙を守りたいと思った。