Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme

Aozora Bunko

伸子は、和一郎の表現に愛情を感じた。

「色どりの派手な空気見たい?」

「まあそうね――それに友達同士の話なんか、僕閉口しちゃうさ、そばで聞いていると……他愛なくて……心配になっちゃう」

間を置いて、伸子は訊いた。

「あのお嬢さん――よく写真なんか撮ってあげてた――あのひとどうした? やっぱり遊んでいる?」

「ああ、あのひとはよくない」

和一郎は、淡白な調子で、はっきり答えた。

「――先、鞦韆しに来ていたんでしょう? 僕、何だかよくない性質がありそうな気がしたもんだから――姉さん、どう思う? 上目で人を視るなんか、陰性で、僕嫌いさ」

伸子は、センチメンタルであった彼が、いつか生存適応者らしく足許の確かさを持ち始めたと思った。

「……なかなかしっかりしているのね、私より偉い」

「そんなことないさ」

「本当!――生れつきで仕方ないが、私みたいにたちまち空想するのもよしあしだ」

伸子は、ぽつりぽつり、独言のようにつけ足した。

「私だっても見えるのは見えるんだけれど、何かの廻り合せで好きになると、『それはそうだが』と思うのね、嫌いなところなんぞ消える筈だと思い込むのね……ところが消えなんかしない、実際になって見ると。