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Japanische Klassiker mit Furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme

Aozora Bunko

五

一生図書館の厄介になるというが、彼はその考えにちっとも光明や悦びを見出してはいないでないか。悲しそうでさえある! さけ難い運命だと歎息するようでさえある。それなら、快活に、熱心に幸福を求める者らしく正直に振舞えばいいのに、彼は、自分を閉鎖している。彼は、なぜその大きな矛盾の裡に自分を置いて平気なのだろうか。なぜ、どっちかにしっかり自分を据えて、日光をたっぷり、空気をたっぷり、人間らしく活きようとする気にならないのだろう。

伸子の若々しい感情は間誤つきと苦々しさと可哀そうさの混った勢いで佃に向った。

彼の顔にいつも変らず現れている一つの表情――何かが足りない、心を風が吹き過ぎる、と云っているような表情――が、彼の全生活を支配するこの異様なこんぐらかりの照り返しであるらしいのを伸子は初めて理解したのであった。

安楽椅子に埋まり、いろいろ感じながら、そのような佃の生真面目な顔を見守っているうちに伸子は、変に重苦しいような、焦立たしいような亢奮を覚えて来た。

彼女には佃がそんな風にして生きているのが平気で見ていられないような気がするのであった。

五

十一月に入り、都会はすっかり初冬の景色となった。