Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
のぶこ
伸子
宮本 百合子
Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme
「ああ、本当に大丈夫なんでしょうか」
伸子は、自分まで悲しいような惨めな気がした。
「大丈夫ですよ。あれは工兵がしているんだから――安心なさい」
なお二十分以上待ち、電車はやっと走り出した。
伸子は動坂へ古雑誌と衣類を貰いに出かける途中であった。彼女は直接震災に遭わなかった。けれども、廃墟になったような大都会の光景が、強く彼女の心を撲った。反動的な生活力が市民のすべてを捕えた。彼女は、今まで失っていた生存感の凝集を感じ、数人の女性と震災罹災者慰問の仕事に携わったりしていたのであった。
結婚してから四年間、彼女の生活は内面的に、夫との組み打ちの連続であった。ひどい機関の音ばかりする工場に四年働いた人間は、きっと鼓膜が変になって、普通の物音など聞えないようになってしまうだろう。伸子の精神状態も全く危機にあった。次第に緊張し張り切って来る心の苦痛で彼女は一種の偏執狂になりかけであった。一人静かにいる時、彼女は、この生活がいつまで続くかという恐怖の塊りであった。もう涙など落ちず、冷静と云えるほど落着いて、どうしてここから逃げ出そう、本当に、彼は自分で云うよう、じきに死ぬだろうか、死ぬとたいへん自然に片づいてよい――そのように考える。