Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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のぶこ

伸子

宮本 百合子

Lesen Sie 伸子 (のぶこ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 232.543 Zeichen · 466 Bildschirme

Aozora Bunko

「どれ、かして御覧なさい。私なんか、もっともっと飛ばせるわ」

草は軽すぎて、却って遠くに飛ばなかった。

「ああ、変にしていたんで肩が痛くなった」

やがて素子は仰向きになり、両手を組合せて額にかざしながら、じっと地平線を眺めた。香ばしい草や日の匂いがあたりに漂っている、……平和な楽しい信頼に満ちた感情が伸子の胸にあった。彼女は先達鎌倉へ行ったとき、ホテルの傍の砂の小高いところに二人矢張りこのようにして日を浴びていた気持を思い出した。彼女は素子の傍にいると、拠りどころのあるような居心地よさ、落着き、悪い意味の女らしさから来る窮屈を脱したいい心持がするのであった。これは伸子に全然新しい感情であった。

死んだ祖父が使った遠目鏡を出してかけ、彼女たちは雲を覗いたり、山を覗いたりした。青々とした美しい山肌がその遠目鏡で見ると、樹木がまばらで野猪の皮膚のようであった。――喋り出す。真面目な話、呑気な話、思い出の話、種はつきず、伸子は素子のこれまでの生活について偽りのない話を聴いた。楢崎から二人で送った寄書の返事のハガキが来た。それに、

「今頃きっと吉見さんはそちらだろうと思っていました。