Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
同じ年の二月、御膳番の天野五郎太夫は、遠島になった。これは本丸の御膳井戸へ猫が落ちて死んだのを問われたのである。
また、夏の初めごろ。
秋田淡路守の下屋敷の軽輩が、吹矢で燕を射たことが発覚し、しかも、将軍家の御忌辰に、法令を犯したとあって、夫婦ふたりとも、斬罪に処せられた。
あとで沙汰にされた噂によると、この軽輩の士には、まだ幼い愛娘があり、その娘の重病に、燕の黒焼をあたえればよいと人にきかされて、親心からつい禁を犯し、この酷刑をうけたものということだったので、聞くひとはみな悪法を呪い同情のなみだを禁じ得なかった。
これらの例は、法令が出たばかりの僅々四、五ヵ月のうちに起ったことで、その一年だけでも、江戸市中や諸国であげられた違犯者の数は何千人かわからない。
“生類おんあわれみ”は結果的に“人民虐待令”であった。
法令は、年ごとに、微に入り細に入って、小やかましい箇条を加え、鷹匠、鳥見組の同心は、ことごとく御犬奉行や犬目付へ転職になり、市中には、犬医者のかんばんが急にふえた。
石を投げた子供が、自身番へしょッ引かれて、その親が、犬目付の告発にあい、手錠、所払いになるような小事件は、一町内にも、毎日あった。