Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
「――死んで来いっ」
と、大喝して、市十郎の体を、撲りつけた。
おそろしい本気な力だったにちがいない。市十郎は、ただ一打の下に、気絶した。
「あ……」と、主殿はすぐ寄って、打ち所をあらためたが、同苦は笑って、
「御心配はない。わしも一度は、師の鉄眼和尚からこれを食わされたものだ」
と、何の事もないように杖を返した。
「では、おさしず通り、即刻、江戸へ急ぎます故」
「ああ、気をつけて」
「何かと、お礼のことばも、今は……」
「何の何の。それどころじゃない。早く、行かっしゃれ」
主殿はすぐ、杖にすがった不自由な足を、せかせかと急がせて、門前へ出て行った。
早駕籠を雇い、江戸へ帰ったのである。――そして、まず赤坂の大岡忠右衛門を訪い、また同族の主なる人々に集まってもらって、親族会議をひらいた。
主殿の真情は、みなの心を打った。異存はない、任すと一致して、彼はまたすぐ早駕籠で、藤沢在へひッ返した。
しかし、こんどの時は、早駕籠二挺づれであった。
一つの方には、お縫が乗っていた。
一死再生
市十郎は、浄見寺の一室に、寝かされていた。
杖で打たれた痕が痛む。それに、一夜、熱が出て、まだ幾分か余熱がある。