Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おおおかえちぜん

大岡越前

吉川 英治

Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme

Aozora Bunko

わらわらと、人は馳けつけてくるし……。これはと、町中へ走り出してしまったの。そして、江戸橋前まで来ると、自身番の灯が見えたので、頭巾や黒衣を道ばたへ脱ぎすて、蔭間茶屋の色子だと出たら目をいって、番太郎の小屋へ泊めてもらったわけなんですよ」

「ふーむ……」と、大亀も三平も、そういうお燕の顔を、今更のようにしげしげ見て、「いい度胸だなあ。イヤ驚いた。こいつあ、おふくろにも勝る鬼ッ娘にちげえねえ」

と、舌を巻いていいあった。

だが、お袖は、気にくわない顔色を見せて、

「まあ、あきれたお馬鹿ちゃんだよ、おまえは。――何さ、あんな印籠一つを」

「でも、わたしには、わたしの生命と一緒に、大事な物でしょう」

お燕は、打って変って、つよい口ごたえを返した。母と娘のことばの裡には、ちょっと他人の三平や大亀には、察しのつかない語気があった。

「お出しなさい、その印籠を。いッそのこと、大川へ捨ててしまってやるから」

「いやですよ。そんな事したら、いくらおっ母さんでも……承知しないからいい」

「じゃあ、おまえは」

お袖は、ことばの下に、お燕の腰から、印籠をり奪くった。

「いやっ――」