Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
二階窓の顔
しかし聞き入る二人にとっては、切実だった。少なくも涙をとどめ得ない嘘であった。
二階窓の顔
「……わしの手に預っておいた印籠一つが、遺物となった。あわれな狂女の死。根もない狂女のたわ言にはすぎぬが、越前守どのを、かりそめにも、父恋しやと、いうて果てたものをと……。実はの、昨夜、笑い話にいたすつもりで、ふと、印籠をお目にかけたところ、以てのほかな、お気色じゃ。――詮議中の女、縄打つと、仰せられ、断じて、法の外で済ます御容子は見えん。愚老も、悪かったが、ちと、憎まれ口をたたいて帰宅してしもうた。……ははは、そんな仔細じゃ。念のため、その井戸なと、検分して、よしなに、御報告ねがいたい」
楽翁は、先に立って、隣家の庭へ、案内した。
井戸は、なかった。
あったという、新しい土盛りの上に、
“狂女お燕之碑”
と、朱書した小さい石が、ただ一つ、載せてある。
「これですか? ……これが井戸で」
「そのまま埋けて、そのまま墓としたのでおざる。……不気味な古井戸、あと、飲めもせぬしな。ははは」
「ともかく、この通りを、越前守様に、御復命はしておくが、御得心なき時は、掘り返すやも知れませんぞ」