Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
小林勘蔵は、義平太に何か囁いて、かれ一人、奉行所へ、帰って行った。
義平太は、根気よく、附近の寺の境内から、その家の出入りを、監視していた。
果たして午近い頃、庭門の方から、ゆうべの藪八が、出て行った。――見えがくれに、義平太は、尾行した。さきは、気がつかないらしい。
だがやがて、何処までもと思って尾けてゆくうちに、驚くべし、このふしぎな人物は、堂々と、江戸城の一門から、奥ふかい城中へ通ってしまった。
唖然として、義平太は、お濠の外に、取り残されていた。それから先は、一歩もはいれる所ではない。
それから約、半刻ほど後。
例の、江戸城本丸の深苑、吹上の奥のお茶屋で、将軍吉宗は、紀州部屋住み時代からの側臣で、今も、お庭番の役名のもとに、股肱の者として召使い、時々、この場所だけで、またいつも必ず、人交ぜなく直接に会うことにしている――隠し目付の藪田助八と、きょうも、会っていた。
「藪八。調べは、ついたか」
「は。いささか」
「どうじゃ、越前の身は。……何とか、救えそうか」
「なかなか、むずかしい事のようでございます」
「はて。至難かの」
吉宗は、眉をひそめ、何か、意志のうずく時にする癖のように、右の膝を、かろく叩いて、