Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
「さ、出ておいで、出ておいでよ。そして、さッさと、南へ自訴して行くがいいじゃないか」
物音を聞いて、奥の内緒から、男の足音が、あらあらと、近づいて来た。
そして、お袖と共に、お島を外へ引きずり出そうとする時、それまで物静かに杯をなめていた藪八は、つと立って、
「ちょっと、そなたに会わせたい者がある。こっちへ顔をかしてくれい」
お袖の手を横から捉えて、自分の部屋へ連れて来てしまった。
「あっ……おまえは?」
お袖は、お燕の姿を見ると、本能的に走り寄った。だがお燕は、藪八の顔ばかり見ていた。かれの許しのないうちは、何もいってはならないと、ここへ来る前の約束をかたく守って――。
「お燕! どうしておまえは、ものをいわないの。お燕! わたしだよ。おっ母さんですよ。そんな取り澄ました顔をしてさ。一体、どうしたわけなんだえ。……そして、そこにいる人は?」
と、かの女は、わが子の膝を揺すぶッた。そしてふと、後ろを振り顧ると、そこにいた藪八と、あとから入って来た大内不伝とが、どっちも無言のまま立ちはだかって、じっと、睨み合っていた。
「貴公が、寺侍の大内不伝か」
藪八が、とたんに、口を切った。