Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おおおかえちぜん

大岡越前

吉川 英治

Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme

Aozora Bunko

生別の門

「弟、久しいことであったな」

「あっ、兄上でしたか」

「主殿じゃ。いや、いまでは禅師の御弟子、鉄雲。――昨夜、師のお宿へ、おん身から長い書状が届き、わしも披見したので、よそながら、お別れに来た」

「忝のうぞんじまする。顧みれば、兄上には、御苦労をかけたのみでした。……イヤ、その片脚の御不自由なお姿を見れば、いまも胸が傷み、私の若年中の素行が、兄上の御一生まで、かくの如く禍いさせたかと、慚愧の念いにたえません」

「何さ、弟。お蔭でわしは、両刀を捨て、ほんとの人間らしい安住の別天地を見出したよ。仏恩とおもうておる」

鉄淵が、その間に、ことばを挟んだ。

「越前どの。今見ておると、せっかく参った山本左右太を、いたく叱ったので、左右太は、もそッと、いいたい事もあったのを、あんたにいえずにしもうたらしい。……お島という女子のことを、何か、聞いたか」

「えっ、島と申すのは」

「お身自身、過去の白業黒業とも、余すなく、白日に曝して、罪を、天に求め、自身、自身を裁き切らんとしておらるるが……。まだあったぞ、もうひとり、お島がな」

「その島とやらが、何といたしましたか」

「遠島の身を、何としてか、江戸へ逃げ帰っていたが、先頃、義理の妹にあたる石焼豆腐のお次を誘うて、大川へ屋形舟を出し、細々と、心のうちを語って、身を投げて死んだという。