Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
待てッ弟。――何者だっ、もうひとりは」
声は、主殿であった。すかさず、かれも直ちに雨の中へ飛び降り、ふたりの影の行くてに廻って立ちふさがった。
異様な物音に、愕として、奥から馳けて来た三名のうちの――兵九郎は、長押の槍を押ッ取って来、忠右衛門は手燭をかざして、縁の角から、雨の闇を、くわっと見つめた。
「主殿、ぬかるな。ひとりじゃないぞ」
兵九郎も、ばッと降りて、一方へ槍をつけた。穂さきを、雨に洗わせながら――。
叔父の声に応じて、主殿も、刀へ手をかけ、雨に咽びつついった。
「オオ、何やつか知らぬが、弟を拉して、どこへ行こうとするか、解せぬ曲者。名を名のれっ。――弟っ、その男は、いったいどこの何者だっ」
すると――墨のような闇と雨との中で、ゲラゲラと笑う声がした。
大亀は、自分たちの住む世界とくらべて、いまのふたりの意気ごみ方が、おかしくて堪らなくなったのだった。かれは、白い歯をむき、肩を揺すッて、なお独り笑った。
「おいおい、叔父貴たち、あんまり騒がない方がお身のためだぜ。それを、慮ってこッちはそっと立退いてやろうとしているのに――」
「な、なんじゃと?」