Japanische Klassiker mit Furigana
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おおおかえちぜん
大岡越前
吉川 英治
Lesen Sie 大岡越前 (おおおかえちぜん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 218.436 Zeichen · 437 Bildschirme
白い弔旗のような幟ばたにも、何か、かれらの罪悪がくろぐろ書かれ、一番あとから、数珠をもった坊主が二人、何のつもりか、足駄ばきで従いてくる。――この世、あの世、どっちのものともいえるような一列の寒々とした灰色の行列であった。
市十郎は、眼を疑った。――かれも、路傍の人なかに立ち交じっていて。――そして、さきに来る三頭のうちの一頭の裸馬の背を見て。
なんとそれは、姿こそ変れ、ひと月ほど前に、微罪で捕まった味噌屋の久助ではないか。
「よもや?」と、眸をこらし、心をしずめて、さらにすぐ眼の前を通ってゆくのを見定めて、かれは危うく、背に負うわが子もわすれて――その側へ走り寄ろうとしたくらいだった。
「……久助だ! おお、何として?」
何か、わけのわからない疑念で、頭がぐらぐらした。阿能十なら知らぬこと。大亀なら知らぬこと。久助とは? ……信じられないのである。――が、すぐ次の裸馬が通った。その上の者は、まったく見も知らない人間だ。更に、三番目の裸馬が通った。その上の者も見覚えがない。――久助のみである。久助のみが、彼のあたまの中を、いつまでもいつまでも、果てなき死出の道へ通って行く。