Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しんきだんクラブ

奇談クラブ(全)

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme

Aozora Bunko

美女の前に語る男の恐ろしい罪

「役目とは申し乍ら、貴いお方に無礼の疑いをかけられた上は、其の儘では相い済みませぬ。いずれは町奉行大岡越前守様へ申し上ぐる筈のところ、――仏参の御道すがらでもあり、此の度だけは穏便にとのお思召で御座います」

実に行き届いた言葉、美しさも若さも賢さも申し分の無い女中で、四方に使いして君命を恥かしめずと言った趣きがあります。

相沢半助は全く頭が上りません。

「…………」

恥じ入る体に差し俯向く隙に、駕籠は上って何処ともなく立ち去ってしまいました。

美女の前に語る男の恐ろしい罪

「丈太郎様、これは何うしたことで御座いましょう」

先刻、同心相沢半助を追い返した若い女は、打って変った物優しい調子で、斯う若い男の顔を見上げました、片手は畳に落して、片手に胸を抱くように、大きい島田が揺れると、すぐれて美しい顔が昃ります。

「…………」

男は差し俯向いて言葉もありません。山形屋丈太郎と言って、二十七歳、元は本町三丁目に大きい唐物屋を開いて、万両分限の一人に算えられましたが、先代が亡くなる頃から道楽を始めて、家業というものを一切顧みなかった為に、瞬く間に没落して、今は目黒の寮に、昔の栄華は名残ばかり、妙に気随な、その癖骨にも泌みるような貧しい暮しを続けて居るのでした。