Japanische Klassiker mit Furigana
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しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme
「万一、この中の御方が、その汚らわしい捕物とやらで無かったら何んと致されます」
斯う言われると相沢半助も、乗りかかった船で、引くに引かれません。
「如何様にもお詫いたす」
「これは貴いお方の御隠居様が、御風気を冒しての御参詣で入らせられます。扉は半分以上引くことはなりませんぞ」
「それは心得て御座る」
ヅカヅカと乗物の側に寄った相沢半助、疑問の扉に手を掛けようとすると、
「お待ち下さい、不浄役人の手を触れて、後日如何ようのお叱りがあろうも知れませぬ、それにて御覧下さるよう」
女中は乗物と相沢半助の間に身を入れ乍ら、扉の中へ。
「お聴きの通りの仕儀で御座います。暫らくお許し下さいませ」
一礼して扉へ両手を添えました。
「頭が高いッ」
「ハッ」
額づく拍子に、駕籠の扉が二、三寸開きました、中の人は後ろに凭れ加減になって居りますから、顔は見えません、チラリと眼に入ったのは、総縫の裲襠に、三つ葉葵の紋を散らした手筥、相沢半助思わずハッと頭を下げるはずみに、乗物の扉はピシンと閉ってしまいました。
「これにて御疑念が霽れましたか」
「ハッ」
斯う言うより外に致し方もありません、三つ葉葵の紋の威力は大したもので、よく顔が見えなかったから、押してもう一度とは言い兼ねたのです。