Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
しんきだんクラブ
奇談クラブ(全)
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ(全) (しんきだんクラブ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 104.139 Zeichen · 208 Bildschirme
下手人は夫かそれとも人形か
「何をする馬鹿ッ」
匕首をもぎ取って突き飛ばし、人形を抱き起こそうとする佐吉の手に、犇々と絡み付いたのはおさよの必死の腕でした。
「口惜しい、口惜しい、私はこんな、こんな木偶に見返られ――て」絶え入るばかりの泣声、おさよもさすがに堪え兼ねたのでしょう、兎もすれば夫の手を振りもぎって、人形の顔を踏みにじろうとします。
「馬鹿ッ、お前などは女の屑だが、この人形は此の世に二つと無い宝物だ、音無しく退いて居ないと、打ち殺すぞッ」
佐吉の声も土蔵の外まで突っ走りました。
「えッ、殺せ殺せ」
「おッ、殺さなくて何うする」その時土蔵の蔭、右と左の小闇には、二人の人間がそれを聴いて居たのです。
下手人は夫かそれとも人形か
佐吉の妻のおさよは、その翌朝土蔵の中に無惨な死体になって見出されました。其の側に突っ立って居るのは、等身大の華魁人形、しかも右の手には、血紅斑々たる匕首を握って居たのです。
夫の佐吉は宵の内に口争いをして、自分の部屋に入って寝て何んにも知らず、多勢の雇人は虱つぶしに調べられましたが、これぞと言って疑わしい者もありません。事件は其の儘、今の言葉で言えば迷宮入になろうとしましたが、越えて翌々日、南町奉行所へ両国の小屋に木戸番を勤めて居る、塩辛声の八と言う者が、恐れ乍らと訴えて出ました。