Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
むすめえんじゅつし
娘煙術師
国枝 史郎
Lesen Sie 娘煙術師 (むすめえんじゅつし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 267.766 Zeichen · 530 Bildschirme
恋のお粂
「いやいや盃は差し上げますまい。付け込まれる恐れがありますのでな。……あなたを祝うこともいたしますまい。付け込まれる恐れがありますのでな」――で紋也は酒の満ちている盃を口まで持って行ったが、グッと一息に飲み干してしまった。と、盃を台の上へ置いた。それから少しく据わっている眼を真っ直ぐにお粂の顔へ注いだ。「うっかり好意を見せようものなら、すぐさま付け込んで来るというのが、今の世の人間でございますからな」
で、唇をゆがめて見せた。裸蝋燭の光があたって顔の半面は明るく見えたが、反対側の半面は、影をなして暗かった。で、唇をゆがめた時に、明るい半面に隷属している、前歯の四本だけが光って見えたが、その表情には用心深いところがあった。「どのように我輩を誘惑したところで、我輩は決して誘惑されはしないよ」――といったようなところがあった。
結局お粂は拒絶られたのである。差し出した右手を所在なさそうに――やり場に困るといったように、差し出したままで迷わしていたが、にわかに侮辱でもされたかのように、ヒョイとひっ込ませると頤の下へやった。
「なんの妾がそのようなことを……」