Japanische Klassiker mit Furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme
お前の手を見てみい、亀の甲みたいやないか、そんなものを嫁にもらえるかい、といったそうだ。
彼女は自分の手を見てなるほどと思ったかも知れない。それだけ余計に腹が立つわけだ。
彼女は夢中でそのままその安宿を飛び出したが実家へはもちろん私の家へも帰ることが出来なかった。同時に彼女は彼女の体内にひそんでいるかも知れないところの坊主の血を感じたりするともう帰るべき家はこの世の中では機関車の下か、松の枝より他には見当たらなかった。
彼女は本当に煙の如く市中をうつらうつらと歩き廻り、それから鉄道線路に沿うてあるいてみたが結局魂だけは線路へ一時預けとして彼女の抜殻だけが私の家へ帰って来たのであった。
そこで姉や兄はその抜殻を叱りつけて、田舎の寺へ連れて帰ってしまった。連れて帰ったものの、よほど注意しなければこの抜殻はいつ魂のもとへ帰ってしまうかも知れない様子なのであった。
四、五日経ったある日、いつもの如く本堂で兄は夕べの勤行をしていた時、いつもの如く彼女もその後ろに坐っていた。灯明が木魚や欄間の天人を照らしていた。しばらくするうちに何だか兄は後ろの方が変にひっそりとするのを感じたのでお経を読みながら、ふと振返ってみると彼女がいない。