Japanische Klassiker mit Furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme
祭礼記
祭礼記
甚だ勝手な申分であるが、私は正月の元旦といえども、ふだん着のまま寝ころんでいたりして、常のままな顔がしていたいのである。
しかしながら、世の中全体の人たちが、私の如く常の顔でころがっていてくれても面白くない。世の中はなるべく鹿爪らしく儀式張ったり騒ぎ廻ってくれる方が、見ていて大変に変化あり、かつ面白く、景気もいいようである。
春夏秋冬、鳥は啼かず、花は開かず、紅葉もせず、夕立もなく、雪も降らず、人間は貧乏と用事ばかりであったり、あるいは失業しているばかりでは、全く世界は憂鬱である。この憂鬱が、もし内攻でもするとそれこそ何か不祥な事でも起りはしないかとさえ思われる。
何んとか一年のうちには雷が鳴ったり何か素晴らしい事があったり、やけ糞でもいいから大騒ぎでもするとか、何かぱっとした事があってほしいものである。
しかし、大騒ぎといっても、戦争や米騒動などは、如何に素晴らしくともあまり好ましいものではない。あの怖ろしかった米騒動の時、私は時々見物に歩いて見たが、あののぼせ上っている人たちの様子が、かなり愉快そうに見えたことがある。私はこれは不気味な祭礼の一種ではないかとさえ感じた。