Japanische Klassiker mit Furigana
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ならしげざっぴつ
小出楢重随筆集
小出 楢重
Lesen Sie 小出楢重随筆集 (ならしげざっぴつ) von 小出 楢重 (こいでならしげ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 334.351 Zeichen · 657 Bildschirme
胃腑漫談
私はそのお尻がパッと開いてすぐ閉じる瞬間を、はっきりと眺めました。
大久保君は投げたステッキを拾いながら、君、あいつは無茶やなアと申しました。
(「週刊朝日」大正十四年九月二十日)
胃腑漫談
最近、私は持病の胃病に悩まされていたのでつい考えが胃に向うのである。
総じて病人というものは病気を死なぬ程度において十分重く見てほしがるものらしい。「なんだそれ位の事でへこたれるな、しっかりし給え」などいわれると病人の機嫌はよろしくない。「何んでも君の病気は重大な病気だよ、なかなか得がたく珍らしい種類のもので、先ず病中の王様だね」位に賞讃すると随分喜ぶものだ。しかし決して死ぬといってはいけない、頗る気ままなものである。
病気でさえも自分のものとなると上等に見てもらいたいというのは情ないものだ、私なども、自分の胃病を軽蔑されたりすると、多少癪に障ることがある。おれのはそんなくだらないケチな胃病とはちがうんだと威張って見たくなることがある、くだらないことだ。
私なども子供の時分は胃の事など考えなかった、自分の身体をば水枕か何かのように考えていたものだ。私の両親は食事しながら笑ったりお饒べりなどすると、これ、あばらへ御飯が引掛りますといって叱った事を私は今に覚えている。