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Japanische Klassiker mit Furigana

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いきふどう

橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

それでも風呂場の入り口に佇んで腑に落ちぬようにくどくどと並べ立てている母の話を聞いているうちに、だんだん真顔になってきたのでございます。一つには阿母が人並以上な気丈者で、そんな腰巻と血糊のべっとりついたのとを見間違えるような粗忽者ではないことに気がついたのでございましょう。

「そうだな! 血糊がべっとりついていたというのは可怪いな! こんな雨の中でも見えるほどに血が流れ出していたんでは、何かよっぽどの深傷を受けていたんだろうが……いくら土砂降り雨の中だって、交番のお巡りが立っておらんことはあるまいが、そうすりゃお巡りにはすぐ不審を打たれにゃならねいはずだが」と小首を傾げました。「……それもそうだし第一そんな深傷を受けた女なんぞが、平気な顔をしてヒョコヒョコ俺の帰るのを知らせに来たというのも可怪いじゃねいか」と母と顔を見合せながら、風呂桶の縁に頭をよっかからせて沈吟しておりましたが、

「何やら怪体な話やなあ! こんな晩にはよっぽど火の用心でもしっかりしておかんことには、とんでもねえことが起るかも知れねえぞ!」

と大声を出してごしごしと身体を洗いはじめました。