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Japanische Klassiker mit Furigana

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いきふどう

橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

「お婆さん、どこかぐあいでも、悪くはないのかね?」

うんにゃ、おらがは、なんともねえでやす! といわんばかりに頭をふりました。しかし、医者として、このからだがどうしてみすごしにできましょう。

「どれ、ちょっと、手をだしてごらん!」

と、脈をにぎったとたん、不安そうにさっきから、下目づかいに博士の顔を見まもっていた老婆は、腹だたしげに、その手をふりはらってしまいました。

「おらがは、なんともねえだてえのに! おらがは病気じゃねえだったらようッ!」

かみつかんばかりの、おそろしい顔なのです。

そしてその瞬間、なんともいえぬなまぐさいにおいが、プウンと鼻をうって、おそらく顔も口も洗ったことがないらしく、おもわず博士も、顔をそむけてしまいました。

「そうかね、わたしのからだじゃないんだから、お婆さんが、イヤならしかたがないが……」

しかたなく博士は机にむかって、カルテに、いまの処置を書きいれはじめました。

看護婦の平松は老婆のせなかに、泣いている赤ン坊をおぶせてやって、手当のすんだばかりの油紙や、膿盤やメスなどを、かたづけていたように思われました。

そして老婆は博士のうしろで、かえりじたくをしていたようにおぼえていましたが、ちょうどそのときだったのです。