Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
なんというふしぎなことでしょう。
机にむかってペンをはしらせていた博士は、老婆に背をむけたまま、とつぜんに、ひきいれられるような、睡気をもよおしてきました。トロトロ、トロトロと、たまらない睡気です。ハッ! として気がついて、どうしたのだろう? と、ふしぎそうに部屋を見まわすと、そこにたたずんでジーッとじぶんを見つめているおそろしい老婆の顔が、目にはいりました。
その異様な底光りのする瞳に、ギョッとしたのもつかのま、また、トロトロと、頭のしんがしびれるばかりの睡気におそわれてきました。いま目にうつった老婆の顔も、赤ン坊の顔も、だんだんと遠のいていって、ペンをにぎったまま、ガックリと博士は机にうつ伏してしまいました。
「……あなた……あなた……あなたったら! まア! どうなさったの? こんなところで居眠りなんかなさって! ……あら、平松さんまで…… さア、お起きなさいよ、平松さん!」
夫人にゆりおこされて、ハッとして博士が目をさましたときは、もう老婆のすがたはそこにはなく看護婦の平松までが博士同様に、スグかたわらの寝台にもたれてねむりこんでいました。
「へえ! 眠ったのかい?……ちっとも知らなかった! いったいどうしたわけなんだ」