Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
と博士はぼんやりして、あたりを見まわしました。
「まア、奥さま……わたし、どうしたんでしょう?」
平松もきまりわるげに、キツネにつままれたような顔をしています。
「あなたは、机にむかったままで眠ってらっしゃるし……平松さんは、その寝台にもたれて、絆創膏なんぞもったまま、眠っていらっしゃるし………どうなさったのかと思いましたわ」
と夫人はおかしさをこらえながら、けげんな顔をしているのです。
「でも、いまのお婆さんはおそろしい人ね……わたし、身ぶるいしてしまいましたわ! そっと奥まではいりこんできて、部屋のなかをのぞきこむんですもの……とても気味の悪い人よ」
「部屋のなかをのぞきこんでた? ……そういえば、あのお婆さんはどうしたんだろう? ……」
「いまごろ、そんなことをおっしゃったって、もう、いやしませんわ、わたしがいま、送りだしたばっかりなんですもの」
と夫人はちょっと笑いをうかべましたが、しかし、あの老婆がよほどこわかったとみえ、その顔は、スグ気味悪そうにひきしまりました。
そして椅子に腰をおろしながら、夫人の話というのは、こうだったのです。
赤ン坊が雨にぬれているときいて、かわいそうに思った夫人は、お乳でもこしらえてあげようと台所に立ちました。