Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
「お八重さん、あなたは殺されたいか?」
「何を冗談いってるのよ。世のなかに殺されたい人間がひとりでもいますかよ」
と八重がせせら笑ったとたん、かすれたような藤の第二の声がとんできたのです。
「だんなさまは、あんたを手討ちにするとおっしゃっていられるんだそうだよ」
「わたしがお手討ちになる? わたしがお手討ちになるんですって? お手討ちになるようなわるいことを、何をわたしがしたというんでしょう?」
と八重はまっさおになってふるえだしました。
「だ、だ、だれがそういったの? だれからあなたはきいてきたの?」
「いま若党の佐平治さんが、ひとあしさきにとんできて……は、早くあなたをにがしてしまえって、わたしにおしえてくれたのよ。だからわたし早くあなたにおしえてあげようと思って……こうして、荷物をもってきてあげたのよ。さ、早くお逃げなさい! もうおっつけだんなさまがおかえりになる。おかえりになったらもう間にあわない。さ、早く早くこの荷物をもって!」
「ああ、ああ……もうわたし……どうしたらいいんでしょう?……なんにも悪いこともしてないのに?」
と途方にくれて八重は、オロオロともう泣きださんばかりの顔をしているのです。