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Japanische Klassiker mit Furigana

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いきふどう

橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇

橘 外男

Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme

Aozora Bunko

どうせお給金も何ももらえはしないんだから……これだけあったら当分こまりはしないでしょう?」

とキラリと目を射るような小判を三枚……そのころの金としては莫大な金額というべきだったでしょう。

「まあお藤さん、あんたはしんせつな、しんせつな……なんというしんせつな……」

と、とうとう人のいい八重は泣きだしてしまいました。

「おや、だんなさまがおかえりになったんじゃないかしら?」

と藤はきき耳をたてました。

そのだんなさまがかえってこられたが最後、八重! そこになおれ! 不埓千万な! 手討ちにいたす!……それを考えるともう、八重は生きたここちもありません。

「さあ、それじゃこうしてはいられない!……お藤さん。あんたにはいろいろお世話になって……お礼はことばにはいいつくせない! いまにきっとご恩返しはしますから……」

「よけいなことはいいから、さ、早く裏から逃げて……町のほうへ逃げてはいけないよ、だんなさまと途中であったらたいへんだから! 命はありませんから!……道へでたらお小姓街道をスグ右のほうへお逃げ!」

もし八重の心さえすこしおちついて冷静であったならば、あるいはそのとき、藤のことばをいぶかしいと感じたかもしれません。