Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
ご隠居の変事
それは左近将監の老母の隠居所でのふしぎなできごとです。が、それを申しあげるためには、まず左近将監の老母が、どこにすんでいたかということからお話しいたさなければ、みなさまにはおわかりにもならないであろうと思われますが、ずっとこの物語のはじめのほうで……まだ了福寺の和尚さんのお話にはいるまえ、博士の飼犬の五郎丸が、なにものかのために、みるもむざんな最期をとげて、その屍骸のあったところは、この山茶花屋敷の裏庭をよこぎって、むかしの厩のくずれた小屋跡から、雑木林のかげを野草におおわれた小径をうねうねと茶畑のなかへおりていったところだったと申しあげたようにおぼえておりますが、みなさまはおぼえておいででしょうか?
この茶畑をこしますと、スグそこが八重の逃げていったお小姓街道になります。このお小姓街道のむこうがわは、また陽あたりのいいいちめんの小高い丘になっているのです。
そして左近将監の母の隠居所というのは、そのころこの丘のなかほどに建っておりました。そしてそこには、こぢんまりとした茶室づくりの家のなかに、将監の老母がふたりばかりの女中にかしずかれて、何不自由もない日をのんびりとくらしていたのです。