Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
と佐平治は一礼してひきさがっていきましたが、ふたたびこまったようにしきいぎわに頭をすりつけてきたのです。
「だんなさま、やはり何かないないでだんなさまのお耳へいれたいことがあると、当人はたってお目通りをねがっておりますが……」
「うるさいやつじゃな。……左近将監をなんと心得おる!」
と、もう将監はかんしゃく眉をピクツかせました。
「わしは一藩の政務をつかさどる身、召使ふぜいと鼻つきあわせるいとまはないわ! 佐平治、そち、話をきいてしかるべくとりはからっておけ」
それなり顔を書物の上にふせて、佐平治は、もうとりつく島もありません。
「では……てまえが話をききまして……なんとかとりはからっておくことにいたしましょう」
しかしその佐平治は、またもや三度頭をすりつけてきました。
「やはりいけません。だんなさま! 当人はなんとしても、だんなさま以外のお耳へはいれられぬ話だ、と申しまして……もしだんなさまおききくださらずば、何事も申しあげずに、このままお暇をねがいたいなどと申しおりまして……てまえなどへは、何ひとつ話すものではござりません。なにかよほどこみいった話がございますようで……」