Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
「……申しあげようか申しあげまいか……事ご隠居さまのおん身にかかわりますことなれば、なんにも申しあげずと、このままお暇ねがおうかとずいぶん考えましたなれど……ほかならぬ大恩うけたご主人さまおん家にかかわる一大事とぞんじまして……だんなさまご立腹をもかえりみず、たびたび押しかえしてお目どおりねがいまして……お許しくださりませ」
「前置きがくどい! さっさと思うことをいうたらどうじゃ!」
とニベもなくひとつあびせかけました。
「だんなさま……じつはご隠居さまお身のうえのことなのでございますが……」
と決心はしてきても、主人の母親のことですから、女中のお里もさすがにためらいの色を見せております。
「佐平治、なにをとんま面してボヤボヤいたしておる。そちにはもう用はない。なぜさがりおらん」
へえ! と佐平治が去ったあとで、ようやく決心がついたように膝をすすめました。
「だんなさま……一大事でございます。ご隠居さまのこのごろのごようすが、なんとしてもわたくしの目には腑におちぬことだらけでございます。わたくしの目には、ご主人なれど、このごろのごようすは、もはや妖怪変化か魔性のものが、かりにご隠居のおすがたをかりているとしか、どうしても思われなくなりました……」