Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
もうこの危難をすくっていただくのには、なんとしても、朝晩仏につかえて世のなかの長い経験をつまれた、こういう老僧の智恵をかりる以外には、方法がないとお義兄さまは考えられたのでしょう。しかも、思いは博士とてもおなじだったのです。
まえにもいいましたように、博士はここへこられるまでは、りっぱな学者として、東京大学の医学部の助教授までもつとめていられたくらいですから、本来ならば、なにをバカげた話ばかりしてこの山寺のもうろく坊主め! と一言のもとに笑いころげてしまわれる立場にあった人かもしれません。
が、しかし、このあいだから身にふりかかっている、あのおそろしいできごとを思いだすと、もうまったく、生きたここちはないのです。
「おねがいします、和尚さん、なんとかひとつ、ゼヒよいお智恵をかしていただけませんでしょうか」
と、博士もうれいの色をおもてにあらわして、ことばすくなに、たのみこまれました。右左からすがってくるふたりに、目をとじたまま、
「わかっとる、わかっとる! ようく、わしにはわかっとるから、いまその方法を考えとるところじゃよ」
と、長い頤髯をしごきながら、この老僧はじーっとなにか、ふかい物思いにしずんでいられました。