Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
看護婦の笠井が、患者の治療をしていられる博士のところへ、あわただしくとんできました。
「先生! おもとさんやみんなが、もうこまりきってるんですけど……ちょっといらしてみていただけませんでしょうか」
「どうしたんだ?」
と、博士は平松に手つだわせて、患者の患部へ罨法をほどこしながらふりむかれました。
「あの……奥さまが……なんだか妙なことをなさいまして……」
「なに頼子が?」
と博士は、患者をおいてつかつかと、診察室の戸口のところまで出てこられました。
「どうしたんだ、頼子が?……はやくいわないか? 笠井くん!」
「奥さまが、さっきあの西のお離れへおはいりになりましたっきり、でていらっしゃらないって、もうおもとさんたちがこまっているんです」
西の離れというのは、昨夜博士が貼りのこされた、例の将監の居間だったのです。
「あんなところへいく用がないじゃないか」
「でも……もう三十分もまえに、あの部屋へおはいりになったっきり、でていらっしゃらないってみんなさわいでいますんです。おはいりになるときも妙なことをおっしゃって、わたしたいせつな用があってよばれてるから、あの部屋までいって話をしてくるけれど、あとからおまえたちついてきたらきかないよ! って怖いお顔をなさって、おもとさんをおにらみになったっていうんです。