Japanische Klassiker mit Furigana
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いきふどう
橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇
橘 外男
Lesen Sie 橘外男ワンダーランド 怪談・怪奇篇 (いきふどう) von 橘 外男 (たちばなそとお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 198.400 Zeichen · 387 Bildschirme
一人で玄関にうっちゃり放しにしておいて!」
と隅にある座蒲団に手を掛けて、抛っておけばそこに二人分の褥でも設けそうなたたずまいであった。
「嫂さん!」と堪りかねて私は夢中で嫂の手から座蒲団をひったくり取った。「何をしているんです! だれがいるんです! だれもいやしないじゃありませんか!」
私の粗暴しい語気に吃驚したのであろう。一瞬嫂は呆れたように私を見上げて膝を突いたが、
「何を言ってらっしゃる!」
と笑い出した。が後に続いてだれもはいって来ないのに不審が起きたのであろう。怪訝そうな面持で廊下の方を覗いたり後方を振り返ったりしているのであった。
「お可笑いわねえ! 今あたしの後からここまでついていらしたのに」
と嫂は腑に落ちぬ顔をしていたが、どうにも不思議に堪えなかったのであろう。つかつかと玄関へ出て行って戸をがらがらと開けてみたり、また戻って来てみたり、不審の晴れやらぬ面持であったがようやく諦めたように部屋の中へはいって来た。
「今もそこまで乗って来た運転手が嫂さんと同じようなことを言っていた。いったいだれがいたというんです? 子供でもうろついてたというんでしょう?」