Japanische Klassiker mit Furigana
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みちくさ
道草
Lesen Sie 道草 (みちくさ) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.812 Zeichen · 293 Bildschirme
四十七
そうして相手の腹を読んだ。一旦横風の昔に返った彼の言葉遣がまた何時の間にか現在の鄭寧さに立ち戻って来た。健三に対して過去の己れに返ろう返ろうとする試みを遂に断念してしまった。
彼は室の内をきょろきょろ見廻し始めた。殺風景を極めたその室の中には生憎額も掛物も掛っていなかった。
「李鴻章の書は好きですか」
彼は突然こんな問を発した。健三は好きとも嫌ともいい兼た。
「好きなら上げても好ござんす。あれでも価値にしたら今じゃよっぽどするでしょう」
昔し島田は藤田東湖の偽筆に時代を着けるのだといって、白髪蒼顔万死余云々と書いた半切の唐紙を、台所の竈の上に釣るしていた事があった。彼の健三にくれるという李鴻章も、どこの誰が書いたものか頗る怪しかった。島田から物を貰う気の絶対になかった健三は取り合わずにいた。島田は漸く帰った。
四十七
「何しに来たんでしょう、あの人は」
目的なしにただ来るはずがないという感じが細君には強くあった。健三も丁度同じ感じに多少支配されていた。
「解らないね、どうも。一体魚と獣ほど違うんだから」
「何が」
「ああいう人と己などとはさ」
細君は突然自分の家族と夫との関係を思い出した。